大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和41(オ)303 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人綱沢利平の上告理由について。

原判決は、被控訴人(被上告人)が控訴人(上告人)に対し本件手形とは別個の

一通の約束手形を訴外Dに交付しないという約定をしたことは本件全立証によるも

肯認しがたく、控訴人の供述中には右事実にそう部分があるけれども、この点に関

する被控訴人本人の供述と対比すると到底信用しがたい旨判示している。しかし、

本件記録に編綴された被控訴人本人の尋問調書を通読すれば、右事実を肯認するに

足りる供述が看取される。

ところで、およそ証拠の取捨判断、事実の認定が事実裁判所である原審の専権に

属することはいうまでもないことであるが、ある事実の存在を肯認するに足りる証

拠がある場合において、これを排斥することなく、漫然その事実を肯認するに足り

る証拠がないとすることは、採証法則上、許されないものといわなければならない。

したがつて、原判決が被控訴人本人の前記供述を排斥することなく、前記のように

判示したのは、採証法則を誤り、審理不尽、理由不備の違法を犯したものというべ

く、この違法が原判決の結論に影響を及ぼすおそれのあることは明らかであるから、

この点に関する論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

よつて、民訴法四〇七条に則り、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 田 中 二 郎

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 柏 原 語 六

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裁判官 下 村 三 郎

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